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株主代表訴訟 商法改正

 中途採用者の解雇について

 日本型終身雇用システムが,労働力の流動化・多様化によって揺らぎ始め,中途採用が以前よりも活発に行われています。これまでの労働者のあり方を前提として労働法制はまさに転換期へと向かっています。

労働訴訟の現状

 民事第一審の労働事件数は,平成3年までは全国で600〜700件台で推移していましたが,平成4年以降毎年増加し,平成15年には2433件と平成3年の3.6倍以上になっています。

法改正

 平成15年に労働基準法が改正され,18条の2(解雇)の条文が追加され,判例上確立した解雇権濫用の法理が明文化されました。これにより,即戦力としての中途採用者の問題においては,能力不足が解雇の主要な理由とされる場合,能力不足はそれ自体が評価概念なので判断が困難とされており,客観的合理的な要求水準と達成水準を検討することになり,この合理的要求水準を判断するにあたっては,採用の経緯や条件,ポストや賃金の額などが重要になると言われています。

即戦力中途採用者の解雇事案の増加

 かつてのような使用者側と労働組合の対立構造を背景とする集団的労働事件は減り,不況下での解雇,サービス残業,賃金不払などを主な背景とした個別労働事件が増加する傾向にあり,事案としては,上級管理者,技術者,営業社員など高度の技術・能力を評価されて特定のポスト・職務のために即戦力として中途採用された労働者について,期待された技術・能力を有していなかったり,当該ポスト・職務が廃止されたことを理由とする解雇の事案が,目立つようになっています。

解雇が有効とされた事例

 ヘッドハントはそれなりの好条件を提示して行われますが,大企業で立派な業績を残していても違う職場で同じようなパフォーマンスを発揮できるとは限りません。企業側としては,期待したパフォーマンスがない人材を優遇しなければならないという立場に立たされることになります。

このような場合に,解雇を有効とした裁判例としては以下の事例があります。

1.マーケティング部長として地位を特定した雇用契約により採用された従業員について職務遂行能力が不足していること等を理由とした解雇が有効とされた事例(持田製薬事件 東京地方裁判所決定/昭和62年(ヨ)第2249号)

2.外資系会社の最上級管理職の一つである人事本部長としての地位を特定した雇用契約により中途採用された従業員につき,就業規則所定の解雇事由である「従業員の業務の履行又は能率が極めて悪く,引き続き勤務が不適当と認められる場合」に当たるか否かは,人事本部長という地位に要求される業務の履行又は能率を基準に判断すれば足り,また,右解雇事由に当たる場合には,他の職種あるいは人事本部長より下位の職位に配置換えすることなく,解雇することができるとし,この解雇が,解雇権を濫用したものではないとされた事例(フォード自動車事件 東京高等裁判所判決/昭和57年(ネ)第615号)


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 我が国の企業では,雇用契約の際に詳細な取決めが為されない場合があり,採用後も上司による注意・指導が具体的になされていないことが多いため,解雇の有効性が問題になることがあります。よって,企業は中途採用をするにあたり,就業規則において解雇事由等を整備するとともに,使用者側において法律を意識した運用上の注意をする必要があります。

参考文献 

・「特集 転換期の労働法制 
 
・インタビュー:東京地裁労働部裁判官に聞く
  
東京地方裁判所民事11部部総括 三代川三千代裁判官」
  
LIBRA THE TOKYO BAR ASSOCIATION JOURNAL 第5巻第4号
  
(東京弁護士会,2005)2頁以下
・菅野和夫『法律学講座双書 労働法』460頁(弘文堂,第6版,平16)

(2005/4/22 掲載)



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