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IT関連立法の解説

 2000〜2001年のIT関連立法の解説


【目次】
1 不正アクセス禁止法
2 電子署名及び認証業務に関する法律
3 特定商取引に関する法律
4 電子消費者契約法
5 不正競争防止法を一部改正する法律
6 プロバイダ責任法
7 景品表示法
8 消費者契約法

1 不正アクセス禁止法

正式名称を「「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」といい,平成11年8月6日国会において可決・成立し,一部を除き,平成12年2月13日から施行されました。

目的 1,不正アクセス行為(ネットワークそのものへの侵害行為,及びネットワークを利用した詐欺等の違法行為)の禁止 2,被害を受けたアクセス管理者に対する防御措置の要求及び行政によるその援助による通信秩序維持

禁止行為の具体例 1,他人のID・PWを入力して,アクセス制御機能による利用制限を解除して,利用できる状態にさせる(3-2-1)。2,いわゆるセキュリティーホールへの攻撃 3,これらを助長する行為=ID・PWの漏洩行為

罰則  不正アクセスについては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金,ID・PWの漏洩行為は30万円以下の罰金とされています。

具体例 千葉県警ハイテク犯罪対策室と木更津署が,12月3日,静岡県伊東市に住む中学1年の少年(13)を,不正アクセス禁止法違反と電子計算機損壊等業務妨害容疑で君津児童相談所に通告したというもの。この少年は,格闘ゲームのサイトに登録した千葉県に住む男性のメールアドレスからのIDとパスワードを割り出して,それを無断で使って,100回以上もそのゲームサイトにアクセスし,ゲームのデータを書き換えるなどしたという疑いがもたれています。

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2 電子署名及び認証業務に関する法律 平成13年4月1日施行

この法律の目的は,デジタル署名のついた電子メール等の文書を,署名者本人によって作成されたものと推定することによって,身元確認が必要な行為をインターネットで行うことができるようにすることにあります。

電子認証は,電子認証局(CA)が身分を証明する。技術的には,現在のところ,PKI(Public Key Infrastructure)公開鍵基盤/公開鍵暗号基盤を用いることになっている。将来的には角膜や指紋などのデータを処理して認証するシステムも検討されています。

認証局の認定を受けている企業としては,日本ボルチモア テクノロジーズや日本ベリサイン等がある。電子認証は,1,電子政府への申請手続や,2,財産上の契約の締結などに利用されることが予定されています。しかし,決済そのものは現在でもクレジットカードで対応できるので,実印と印鑑証明に相当する電子署名をどのような場合に使うのが適当かは,これから試行錯誤していくべき課題とされている。リアルの社会では,不動産の売買や,遺産分割のときに印鑑証明を使う位で実印はめったに使われないことからも想像されるとおり,電子認証に強い効力が認められれば認められるほど,簡単に使うわけには行かなくなってくる可能性が指摘されています。

通信販売事業者が実在することをWeb上で証明するものとしては,日本商工会議所で運営しているオンラインマーク(Online shopping Trust マーク)があります。

このマークは,インターネットショッピングの事故を防止するために,商工会議所が通信事業者の事業所を実際に訪問してその事業所が実在することを確認し,かつ,ホームページ上の表記が通信販売に関する法令を遵守しているかを審査して使用を許可する制度である。但し,この制度は,販売される商品やサービスの品質を保証するものではありません。

このマークの画像には,「透かし」として認証情報が埋め込まれていて,このマークを正式に取得していない者が勝手にコピーして貼り付けた場合には,不正表示のメッセージが表示されるようになっています。

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3 特定商取引に関する法律

これまで「訪問販売法」と言われてきた法律は,平成13年6月1日より,「特定商取引に関する法律」と名称が変更され,取引形態に応じた法的な規制を定めた。インターネットショッピングは,この特定商取引に関する法律にいう「通信販売」に該当します。

この法律によって,ホームページ上に,1,商品の価格,2,支払時期および方法,3,引渡し時期,4,返品の特約,5,事業者の氏名など,6,申込みの有効期間,7,送料や付帯費用の金額などを表示しなければならない。また,誇大広告などの禁止が定められており,その違反に対しては100万円以下の罰金等の制裁があります。

産業経済省は,同法の14条にいう「経済産業省令」の中身として,10月24日に「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』にかかるガイドライン」を作成しています。このガイドライン(経済産業省令16条1号)は,「申込となることの表示」について,1,最終的な申込みボタンに「送信」などという表示がなされているだけで,申込みを明らかにする表示がない,2,申込みボタンに近接して「プレゼント」などと表示されていて有償でないかのような誤解を与えるようなものは違法の虞がある。また,「確認・訂正機会の提供」について,申込最終段階の画面上において,1,申込内容が表示されず,これを確認するための手段が提供されていない,2,訂正する手段が提供されていない,及び3,あらかじめ同一商品を複数申し込むように設定してあるようなものは違法の虞があるとしています。

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4 電子消費者契約法

正式名称を「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といい,平成13年6月22日に成立,12月25日施行されました。

この法律は,消費者がパソコンの操作ミスによって損害を蒙らないようにすることによって,電子取引の利用を促進することを狙いとしています。内容は,電子取引の申込画面に「確認措置」がない限り,消費者は重大な過失があっても錯誤無効を主張できるというもので,逆に言えば,確認措置がとられているときは操作ミスによる錯誤無効は主張できなくなります。

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5 不正競争防止法を一部改正する法律

不正競争防止法の一部を改正する法律(平成13年6月29日法律第81号)は,平成13年12月25日から施行されます。

法案提出の理由は,「近年の経済社会の情報化の進展にかんがみ,不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的で他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名の権利を取得する等の行為の停止及び予防を請求することが出来るようにするとされています。

内容 1,他人の商標と類似のドメイン名の取得・保有・使用を不正競争と認定するということと,2,商標権者に差止・損害賠償請求を認めるということにあります。

損害賠償の中身は,「ドメイン名の使用に対し通常受けるべき金銭の額に相当する額」=これについての裁判所の考えかたは,他社にサブライセンスしたときの許諾料相当額と考えており,具体的には侵害した企業の売上の5〜6%とする例が多い(ミッキーマウス・無線操縦飛行機・セゾン等の事案)。

不正競争防止法違反には,3年以下の懲役,300万円以下の罰金という罰則があります。法人が行った場合,両罰規定によって3億円以下の罰金が並課されます。

Japan Intellectual Property Arbitration Center 知的財産権・JPドメイン名紛争の処理機関JPドメイン名に関する紛争処理手続としては,(旧:工業所有権仲裁センター)日本知的財産仲裁センター,記号でいうとJPNICという団体が行う裁定手続きがあります。

JPNICは,申立人から,紛争の対象となっているJPドメイン名について,当該申立人への登録移転またはその登録取消の請求があった場合,中立公正な一名または三名構成のパネルにその裁定を委ねるものです。 パネルは,パネルの指名を受けた日から14日(営業日)以内に裁定を下すので,紛争の解決が短期間に図られます。

JPNICは,移転または取消との裁定が下った場合には,そのドメイン名登録者がこれを不服として裁定の通知後10日(営業日)以内に管轄裁判所に出訴した場合を除いて,その裁定結果に基づいて,申立人への登録の移転又は登録の取消を行います。

JPドメイン名紛争処理の手数料は,パネリスト1名の場合で約20万円です。

東京地裁は平成13年11月29日,「sonybank.co.jp」というドメイン名を,新潟県の会社からソニーへ移すように命じたJPNICの裁定を支持する判決をしたことがニュースになりました。裁判所は,このドメイン名は,一般人をソニーと関係があると誤解させるものであること,ソニーがネット銀行に参入すると発表した直後に登録されていることなどを認定して,不正の目的を認定しています。

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6 プロバイダ責任法案

この法律は,正式には,「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といい,11月30日に成立しました。

この法律は,ネットでの名誉毀損等の被害救済方法の構築をめざすものです。

旧郵政省が昨年行った調査によると,大手プロバイダ5社が受ける違法・有害な情報に対する苦情の総数は年間で1万1千件に及ぶ。このような苦情に対して,各プロバイダ等は頭を悩ませてきたわけだが,この法律によって一応のルール作りができました。

具体的には,情報の削除を求められた時は,書かれた側の権利が不当に侵害されたと信じるのに相当の理由があるときや,発信者に連絡してから7日以内に反論が無い場合には,業者は書き込みを削除しても発信者に対して責任を負いません。

発信者情報の開示については,「権利侵害が明らかと判断されるときや,訴訟の準備のためなどの正当な理由があれば,発信者情報を開示することができます。

この法律では,プロバイダ等を特定電気通信役務提供者と定義しますが,この定義には,電子掲示板サービスを提供したり,ホームページを運用している企業や個人も含まれます。

この法律によって,プロバイダやサイトの管理者は,一定の民事責任のリスクから開放されたために,情報の削除をし易くなったといえるが,安易に削除すると利用者減につながるという意見もあります。

また,法案の段階で,プロバイダに罰金を課すことが検討されたこともあって,この法律が適用されない海外のサーバーを利用する動きがあるという報道もなされています。

7 景品表示法

景品表示とは,「入会者の方全員の中から抽選で1名様にデジタル・カメラを進呈」などの場合をいい,インターネットでもよく用いられています。この方法により提供できる景品類の最高額や総額は,「取引価格の20倍又は10万円まで」などのように規制されています。

景品表示法の正式名称は,「不当景品類及び不当表示防止法」といい,「独占禁止法」の手続的な特例を定めるものです。不当表示や過大な景品付販売は,事業者の顧客誘引の手段として行われ,1社が行うと対抗上他社もこれに追随し,同様の広告宣伝を行うなど,非常に波及性,昂進性のあるため,これを放置した場合,商品の品質や価格による「自由かつ公正な競争」が阻害されることになるということで独禁法に関連して規制されています。

不当表示というのは,通常価格と特別価格を合わせて表示させる二重価格が典型的なもので,1,衣料品店が,「紳士スーツ 当店通常価格58,000円の品40,000円」と表示していますが,実際には,当該商品と同一の商品について,通常45,000円で販売しているとき。2,寝具店が,「羽毛ふとん 通常15,800円を12,000円」と表示していますが,実際には,当該商品は今回初めて販売されるものであるとき。3,電器店が,「エアコン メーカー希望小売価格200,000円の品138,000円」と表示していますが,当該商品についてメーカーは希望小売

価格を設定していないとき。4,スーパーが,「全品5割引セール」と強調して表示しているが,実際には,一部の商品のみが5割引となっているにすぎないときなどがこれにあたります。

違反に関して,公正取引委員会は,過大な景品提供行為又は不当な表示を行った事業者に対し,排除命令をすることができます(景品表示法第6条)。

8 消費者契約法

「消費者契約法」は,消費者と事業者との,「情報の質及び量並び交渉力の格差」を是正することを目的として平成13年4月1日から施行された法律です。この法律は,一般の事業者と消費との取引に広く適用されるもので,電子取引にも適用されることになります。

1,債務不履行,不法行為,瑕疵担保責任をすべて免除する免責条項。2,解除に伴う損害賠償の予定が平均的損害を超えるものは,超える部分(第9条1項)3,支払期日経過による遅延損害金の予定が年14.6パーセントを超えるものは超える部分(第9条2項)などを無効とするものです。

また,いかなる理由があっても,一切その責任は負いませんという条項や法外なキャンセル料を定めている条項のように,消費者の利益を不当に害する条項は無効です。



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