■ 職務発明 【その1】 従業員が行った「発明」について
3 職務発明に関する権利関係
現在の職務発明の権利関係は,以下のとおりです。
| (1) |
使用者は通常実施権を有する |
| (2) |
事前に契約,勤務規則等により,使用者への承継等を定めることができる。 |
| (3) |
契約,勤務規則その他の定めにより職務発明に係る特許権等を企業に承継した場合,従業者には「相当の対価」を受ける権利がある。 |
| (4) |
「相当の対価」の額については,対価を決定するための基準の策定に際して使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況,
策定された当該基準の開示の状況等を考慮して,その定めたところにより対価を支払うことが不合理と認められるものであってはならない。 |
| (5) |
「相当な対価」の定めがない場合,または定めに基づく支払が不合理と認められる場合には,相当な対価の額は使用者等が受ける利益の額,
使用者等の貢献,従業者等の処遇その他の事情を考慮して定める。 |
4 平成16年の特許法35条改正
従前の特許法35条では,上記(4)の「相当の対価」を会社と従業員間で決定する手続に関する規定がないままに,従業員が「相当な対価を受ける権利を有する」とのみ規定されていました。
そのため,仮に勤務規則等で職務発明に係る対価が定められていたとしても,不満のある従業員が裁判で「相当な対価」がより高額である旨を主張し,
裁判所がこれを認めた場合には,裁判所が算定する対価の額が「相当の対価」であるとされ,使用者等にとっては,いかなる対価を支払えば免責されるのか不透明である点で大きな問題がありました。
そこで,平成17年4月1日から施行された改正特許法35条により,勤務規則その他の定めにおいて職務発明に係る対価を定めた場合,
その定めが「不合理と認められない限り」その対価がそのまま「相当の対価」として認められることとなりました。
したがって,使用者等にとっては,勤務規則その他の定めにおいて,職務発明の対価をいかに定めれば「不合理と認められない限り」といえるか否かが重要な問題となっており,
特に,いかに適切な対価決定手続を構築するかが重要な問題となります。