弁護士法人 古田&アソシエイツ法律事務所
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コラム 《 ストック・オプション 》 見出し


 ■第6回:所得税を知る(その3)・・・各所得の解説(2008/3/11)

 このコラムは,主として専門家(自称専門家を含みます)以外の皆様を対象にしております。


【はじめに】

 今回は所得税の各論,各所得のお話となります。


【給与所得(1)・・サラリーマンの必要経費】

 給与所得とは,もっともおなじみの「お給料」に関する所得です。所得税は給与所得のほかにも9種類の所得がありますが,給与所得は,他の所得と合算されて累進税率が適用される総合課税制度の適用を受けます(第5回参照)。所得税の給与所得では,「賞与」も含まれます。もっとも,「給与=給(料)+(賞)与」と理解すれば簡単な話ですが・・

 さて,前回で所得とは,

 所得=収入−経費(収入のために必要な経費・・いわゆる必要経費)

 と申し上げました。

 ここでサラリーマンの方々のお嘆きとして,「(サラ)リーマンには必要経費がないからな・・」というのがあります。会社から渡される出張費や接待費とかを「上手に」使っている人でさえ使うセリフです。

 ところが,サラリーマンには必要経費があるのです。その証は,多くの人がご存知の,「給与103万円までは所得税がかからない」というものです。


【給与所得(2)・・103万円のナゾ】

 本来ならば,所得税は10%から35%までの累進税率が適用されています。たとえ103万円でも10%の税額がかかるはずです。

 前回でも登場した算式によれば,所得税は以下のように計算されます。

 {(所得A−所得控除額B)×税率C}−税額控除額D=所得税額E

 カンのいい皆様は,「所得控除額(B)とか税額控除額(D)が大きいからじゃないか」と考えると思います。しかし,所得控除額のうち,誰もが控除できる基礎控除額は38万円であり,仮に配偶者控除があってもプラス38万円です。所得控除額が合計76万円では103万円から引いてもまだ税率を乗じれば税額が計算されてしまいます。

 もっとも,さらに扶養家族が1人いて扶養控除(プラス38万円)があり所得控除額合計が114万円で103万円を上回る場合や,住宅借入金等特別控除などの税額控除額があって所得税額(E)がゼロになることもあるでしょう。

 しかし,「給与103万円までは所得税がかからない」というのは配偶者控除や扶養控除がないはずのパートの主婦も言っているほど普遍的なものであり,別の原因がありそうです。

 結論から申し上げますと,給与収入103万円に対する給与所得は38万円なのです。

 所得=収入−経費(収入のために必要な経費・・いわゆる必要経費)

 ですから,所得38万円,収入103万円,経費をXとして解くと,

 給与所得38万円=給与収入103万円−必要経費65万円

 という関係が成立します。

 (給与)所得(A)が38万円,所得控除額(B)の基礎控除が38万円なので,差引き所得金額はゼロということになり,所得税はかかりません。基礎控除は誰にでもあるものですから,なるほど「給与103万円までは所得税がかからない」はある意味普遍的といえます。

 ここで,重大な誤りやすい誤解を申し上げます。あなたの扶養家族の収入が,もしも,給与ではなくて報酬であるとすると,上記の前提は一挙に崩れます。この収入は給与所得ではないので,給与所得控除が関係ないからです。ズバリ,収入金額から必要経費を引いた金額が38万円以下でないかぎり,扶養家族として扶養控除できません。たとえ80万円の収入であっても,必要経費がないと80万円から基礎控除38万円を引いて所得が発生(つまり所得税も発生)してしまうのです。


【給与所得(3)・・源泉徴収票をチェック!】

 ところが,ここで疑問が生じます。「なぜ給与所得が38万円なのか」「その前提としてなぜ必要経費が65万円なのか」

 実は,サラリーマンの必要経費は給与収入に応じて国がすでに決めているのです。ここで,サラリーマン(給与所得者)の必要経費を「給与所得控除額」といいます。

 普段お目にかからない人も多いかもしれませんが,国税庁HPのトップページ左側に「パンフレット・手引き」というのがあります。これをクリックしていただくと,「源泉所得税関係」という項目があります。その中に,「平成19年分年末調整の手順と税額の速算表等」というのがあります。その6ページ以降に,「平成19年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」があります。

 それによれば,給与収入103万円というのは,表の「給与等の金額」の「651,000円以上1,619,000円未満」にあたり,「給与所得控除後の給与等の額」(これぞまさに給与所得の意味)は「給与等の額から650,000円を控除した金額」とあります。よって,給与収入103万円に対する給与所得は38万円(103万円−65万円)となります。

 給与収入に対する必要経費(給与所得控除額)が決まっていること,給与収入と給与所得の表が存在することから,給与所得の考え方として現実的ないし実務的なのは,「この給与収入に対する必要経費はいくらなのか」というよりも,「この給与収入に対する給与所得はいくらなのか」という思考です。

 給与収入と給与所得の関係は,別の角度から見ると,「所得税の税率がかかるのは,収入額ではなく必要経費を控除した所得額である。つまり,給与収入額ではなく,国が定めた必要経費(給与所得控除額)を控除した給与所得額である」ということになります。

 ここでぜひ,あなたの給与収入と給与所得をチェックしてみるといいと思います。お手元に去年の年末調整で勤務先からもらった源泉徴収票をご用意ください。「支払金額」の欄の金額があなたの給与収入,つまり年収です。その右に「給与所得控除後の額」の欄があるでしょう。これがまさにあなたの給与所得額です。


【給与所得(4)・・サラリーマンは事業者よりも不利か?】

 サラリーマンは事業者よりも不利だと言われています。ここで事業者とは個人事業者をいいます。なお,自分の会社を作ってその会社から役員報酬をもらうというのは,役員報酬が給与所得そのものであるので,ここでは当てはまりません。個人事業者の所得は主として事業所得です。事業所得はまさに所得の算式がモロにあてはまります。

 所得=収入−経費(収入のために必要な経費・・いわゆる必要経費)

 話を戻して,サラリーマンは事業者よりも不利だとされます。なぜなら,給与所得控除額という必要経費は国によって政策的に決められている反面,事業者は必要経費をコントロールできるからです。「コントロール」というのは,ビミョーな表現ではありますが・・。この点においては,圧倒的にサラリーマン不利といえます。

 ただし,モノは考えようです。個人事業者でいくべきか,それとも会社を作ってサラリーマンになるべきかの選択にあたり,個人事業者の場合では,「(事業に)必要な経費」でない限り収入から差し引くことができないのがタテマエです。逆に,サラリーマンの場合では,実際の必要経費に関係なく,国が決めた必要経費(給与所得控除額)を給与収入から差し引くことができるのです。もし,実際の必要経費が少なくて,給与所得控除額の方が大きいとすると,個人事業者の方が不利でサラリーマンの方が有利となります。それにしても,少なくともこのネタ,少なくともストック・オプションのテーマではまったくといっていいほど関係のない話ではありますが・・・


【給与所得(5)・・百選なのに227選(マジかよ)】

 サラリーマンは必要経費を国に政策的に決められてしまう一方で,事業者は極端な話どうにでもできる・・・こういう所得税法の規定は不合理で,憲法14条1項「法の下の平等」に違反するのではないかという考えをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

 この点が争われたのが,いわゆる「サラリーマン税金訴訟」(最高裁大法廷昭和60年3月27日判決)です。これは「憲法判例百選」にも選ばれている有名な判決です。なお,「百選」とはいえ100個以上が選ばれています。この点日本百名山とは違います。

 「二重の基準論」「合理性の基準」「規制目的二分論」「経済的自由に関する規制」「積極的規制」「明白性の原則」という合憲性判定基準のキーワードの説明は流して,結論から申し上げれば,このような規定も憲法に違反しない,つまり合憲であるというものです。

 「租税法の分野における所得の性質の違い等を理由とする取扱いの区別は,その立法目的が正当なものであり,かつ,当該立法において具体的に採用された区別の態様が右目的との関連で著しく不合理であることが明らかでない限り,その合理性を否定することができず,これを憲法14条1項の規定に違反するものということはできないものと解するのが相当である」

 このような規制は,社会経済の調和発展のための基本的人権に対する積極的な規制ですが,この規制が合憲かどうか判断するためには,社会的実態についての資料の収集とその評価が必要であるところ,手続的な制約が多い司法府(裁判所)では十分になしえません。むしろ,これこそまさに立法府(国会)の機能であり,かつ責任といえます。よって,司法府(裁判所)としては,よほどのことがないかぎり,国民から選出された議員によって構成される立法府(国会)の判断を尊重するというものです。

 いや〜,法律事務所のHPらしくなってきました。


【給与所得(6)・・特定支出控除】

 この判決のあと,昭和62年に所得税法が改正されて,現在に至っています。その内容は,サラリーマンに独自の必要経費を認めた,つまり,あらかじめ定められた給与所得控除額を超えるような独自の必要経費(「特定支出」)がある場合には,確定申告をして給与所得から差し引ける制度です。これを「給与所得者の特定支出控除」といいます。

 もっとも,「特定」支出だけに,その支出の内容それ自体が特定されているため,まだまだ事業所得者に分があるかなと思われます。


【給与所得(7)・・経済的利益と所得税】

 実は,所得税でいう給与所得というのは,単純に現金(とか振込み)で受け取ったものに限られません。経済的利益も,見えない給与所得なのです。

 経済的利益という用語をいきなりドカ〜ンと出すのはわたくしらしくありません。学校の授業ではないので,経済的利益の意義よりも,その例から挙げましょう。

・通勤費

・昼食代

・自宅の家賃負担

・(社員)旅行の負担

・いわゆる現物給与

ストック・オプション権利行使(キタ〜!!)

 要するに,「本来なら本人が負担すべきものを会社等が負担してあげたわけだから,これも(本来の)給与と一緒でしょ。ただ現金(振込)としてもらっていないだけさ」ということです。今「昼食代」を示しましたけど,「昼食代は本人が負担すべきもの。これを会社が負担したら,その負担分は給与(所得)だ」というのが所得税の考え方です(注1)。

 では,給与所得となるということ,いわゆる「給与課税される」とはどういうことでしょうか。

 経済的利益を受ける本人にとっては,所得が増えるということですから,所得税(そして住民税)が増加するということになります。もっとも,経済的利益を受けているわけですから,それはそれで納得という面もあるでしょう。

 問題は,経済的利益を与えた会社等です。「給与課税される」ということは,源泉徴収をして,原則として翌月10日までに納付しなければならないのです。これをミスると,非常に痛いことになります。源泉所得税は消費税と一緒で「預り金」的な性質があるので,タイムリーに納付しないと延滞税(年14.6%)も高額です。消費税と源泉徴収漏れは注意しなければなりません。しかも,給与計算等を外部にアウトソースしている会社においては,当事者双方でこの点の問題の所在を認識せず,かつタイムリーな意思疎通を欠いていると,源泉所得税の税務調査でアッという間にモクモク追徴課税と罰金が膨らんでいくことになります。

 ただし,原則があれば例外があります。通勤費も昼食代も家賃負担も旅行費用負担も,一定の金額を会社が負担すれば,給与所得の対象とはなりません(注2)(注3)。

 例えば,仕事がデキるために,自分の住居の家賃の全額(月15万円)を会社に負担してもらっているA氏がいるとします。この場合,家賃は本来本人が負担すべきものですのですから,負担してもらっている家賃相当額(月15万円)はA氏の経済的利益になります。これは給与所得になり,年末にもらうA氏の源泉徴収票には,通常のサラリーに加えて家賃分も給与収入(所得)になります。しかし,会社が一定の金額(仮に月2万円)を本人から徴収していれば,結果として会社が負担した家賃分(月13万円相当)は給与所得とはなりません(注4)。よって,A氏の源泉徴収票には通常のサラリーのみが給与収入(所得)となります(注5)。

(注1)

 ちなみに,残業食については,基本的に給与(所得)にはなりません。これは単純に会社の経費(福利厚生費)となります。

(注2)

 国税庁タックスアンサーHPには,税項目ごとにアイコンがありますが,「源泉所得税」の中に,「特殊な給与」というのがあります。好奇心旺盛な方は,参照していただくとより理解が深まるのではないかと思います。

(注3)

 通勤費については,一定の金額を超えないものについては,給与所得の対象とはなりません。ですから,月々で源泉所得税の金額を決める場合には,通勤費を加えない給与収入から社会保険料等を控除した金額について「源泉徴収税額表」を見ることになります。ただし,その社会保険料の算定の基礎となる給与については,所得税の規定とは関係なく,通勤費(その他の経済的利益も)を加えた給与収入の金額について「料率表」を見ることになります。給与明細で「課税対象」「課税対象外」という記載があったら,通常は通勤費部分がカラんでます。

(注4)

 自社の社宅,借上社宅にかかわらず,税務上は,従業員や役員から一定の金額を本人から徴収すれば給与課税の問題は生じません。

 この一定の金額は,その社宅の広さによって算定方法が異なるのですが,いずれにしても固定資産税の課税標準額を基礎として算定されますから,一般的な実際家賃と比べればかなり低い金額となります。細かい算定方法はあえて割愛しますが,所得税法取扱通達36−41にその記載があります。

 借上社宅の場合,かつて社宅の所有者の固定資産税の課税標準額は所有者の好意でしか知ることができず,規定はあっても十分に利用されませんでした。近時情報開示が進み,社宅にかかる固定資産税の課税標準額を知ることができるようになりました。

(注5)

 例えば,家賃が月15万円で一定の額を月2万円とすると,月2万円は本人から徴収しますから,月13万円が会社の負担ということになります。

 ところで,「住宅手当が月5万円つく」というのはよくある話です。確かに,住宅手当がないよりはあるほうがいいに決まっていますが,実際の家賃を払っているのは誰かという点が重要です。もし,月15万円の家賃を本人が支払っているとすれば,本人の負担は,月10万円(15万円−5万円)です。しかも,住宅手当は,サラリーを基本給やナントカ手当に区分しているにすぎませんから,住宅手当分も含めて所得税がかかってきます。所得税がかかるということは住民税もかかるということです。ちなみに,ボーナスは通常「基本給の何か月分」ですから,住宅手当で基本給部分が少なくなれば,それだけボーナスも低いということになるでしょう。もっとも,年棒制ではあんまり関係ないでしょうが。

 他の要素が同じだとすると,まさしく経済効果から見れば,住宅手当よりも,会社が家賃を負担してくれて一部本人負担の方がおトクな場合もあるでしょう。ただ,年収(給与収入額)がその人の社会的価値を決める尺度と考えれば,「住宅手当分だけ年収が見た目増えている方がいいんだ」という考え方もありますから,一概に損得は論じられないというべきでしょうか。


【給与所得(8)・・ストック・オプションと給与所得課税】

 ここにきてようやくストック・オプションの話となりました。ストック・オプションとは,ある一定の期間(権利行使期間)にある特定の株価(権利行使価格)で株式を買うか買わないかを選択できる権利です。詳しくは第1回を参照してください。

 さて,ストック・オプションを持っている人は,それを権利行使しようとするとき,まさにその時の会社の株価がどんなに高くても,権利行使価格で購入することができるのです。例えば,権利行使価格が50円だとすると,会社の現在の株価が1,000円であっても,50円で株を購入することができるのです。

 では,この差額950円はどう考えるべきなのでしょうか。どんな株価であっても50円で株式を買う権利を与えたのは会社です。だとすれば,株価が1,000円の段階で,ストック・オプションを権利行使して株式を取得した人がいると,結果として,会社は950円分の経済的利益を与えたことになります。まさにこれが給与所得の対象となるのです。

 実は,原則として,ストック・オプションを権利行使して株式を購入すると,権利行使価格と時価との差額が,会社から経済的利益を得たとして給与所得課税されるのです。そして,この時点で給与課税されるのが見送られる(繰り延べられる)税制上の措置こそが,「税制適格ストック・オプション」(ついにここにきて登場!)なのです。詳しくは第8回です。

 ここで,カンのいい方や知識のある方は考えます。「ストック・オプションを社外の人に付与した場合,社外の人が権利行使するとどうなるのか?給与をもらっていない社外の人なのに給与所得として課税というのはオカシくないか」と。おっしゃるとおりでございます。ストック・オプションは,近時目まぐるしく変わる商法でも大きく改正されたものの一つです。かつては役員や従業員にしか付与することができず,しかも付与の手続も現在に比べればかなり厳格なものでしたが,旧商法会社編の末期の改正によって広く社外の人にも付与することが可能になりました。

 では,社外の人がストック・オプションを権利行使した場合には,給与所得になるのでしょうか。これも第9回にご説明いたします。


【一時所得】

一時所得とは,営利を目的とする継続的行為から生じたものでも,労務や役務の対価でもなく,更に資産の譲渡等による対価でもない一時的な性質の所得をいいます。一時所得も給与所得などと同様に総合課税制度が適用されます。

一時所得は,その他の所得よりも非常におトクなものです。一時所得の金額は次の計算式で算定されます。

一時所得={収入金額−必要経費−特別控除額(最大50万円)}×1/2

 ここでいう収入金額とは,一時所得に該当する所得の収入金額です。では,一時所得に該当する所得とは何かが問題となります。典型的なのが,生命保険や損害保険の満期返戻金です。その他,懸賞等の賞金,競馬競輪の払戻金,法人から贈与された金品などがありますが,その範囲は限定されています。

 収入金額から必要経費を引けるのは,一般的な所得金額の計算方法に似ていますが,さらに特別控除額(最大50万円)があります。

 そして重要な点は,実際には特別控除額を引いた金額の50%相当額しか課税されないということです。

 このように,一時所得は他の所得に比べて非常に税金のかからない所得といえます。

 ストック・オプションで所得が発生するのは,権利行使価格で安く取得した株式を市場で売却したことによる株式売却益です。しかし,現実には,株式の購入と売却が同じタイミングのために,株式売却というよりは一時的な所得ではないかという考え方が生じるのは,ある意味自然といえるかもしれません。前回,所得税のポイントに「この収入は何所得にあたるのか」があると申し上げましたが,ある収入が,所得額が少なく算定される一時所得に該当すれば,非常に有利となります。

 実は,いわゆる外資系企業に勤務する人が,海外親会社のストック・オプションをもらって,これを権利行使した場合,この所得はいったい何所得なのかが,「ストック・オプション訴訟」として,裁判で争われてきたのです。詳しくは次回以降です。


【余談】
 

 国税庁のHPの参照先を示す説明の中で,「そんなくどくど説明しないで,参照先のURLを貼ればいいじゃないか。アホな奴だ」とお思いになった方もいらっしゃるでしょう。この点につき,筆者本人は十分自覚しているつもりでおります。では,なぜまどろっこしい説明をしたのか,それは,別の問題解決のためのヒントを示したかったからです。今回の件は,確かにURLを示せばそれで終わりですが,いろいろな画面を開いている中で,別件で新しい疑問点などが生じた場合,「あそこにあのようなタイトルがあったな」ということで調べることができます。専門書や専門家の書籍やHPなどは,その性質上,一般的なことを体系的に秩序立てて記述しています。ところが,現実には個々の複雑な事情(単に専門分野ばかりでなく当事者の感情や願望や政治的事情なども含めて)が絡み合っているわけで,解決方法そしてその結果が異なりうるものです。もっとも,「この問題は複雑な事情が絡み合っている」とまず認識できることが前提ですが・・。特定分野の抽象的な知識だけで対処しては大きなミス,または当事者の期待との大きな食い違いが生じる可能性があります。とかく自分に都合のいい記述や解釈だけを引っ張り出して,短絡的に解決しがちという点が重要な要因の一つではないかと思われます。多面的に事象を分析検討するためのヒントの一部を示したかったということです。


【おわりに】

 最近は長編モノが多く,今回も本来ならば数回に分けてもよかったのかもしれません。小出しの方が楽なのですが,他方ある程度まとまらないといけない面もあるかと思いました。次回は「株式を売ったときの所得」について説明したいと思います。



 

第7回に続く


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